Arafudo Art Annual 2014!

Festival of Art, Tsuchiyu Onsen, FUKUSHIMA

Interview with Area Park

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東日本大震災後すぐに沿岸部を巡った韓国と日本で活躍する写真家エリア・パク。当初はシャッターを切れずに過ごしたものの、沿岸部で拾ったアルバムがきっかけで撮影に入ったといいます。現在も4✕5サイズのフィルムで撮影を続ける彼は、震災後もなお残ったフィルムやモノの存在に、自分の写真家としての方向性を見つけました。写真によって東北にお礼がしたいとアラフドアートアニュアルの参加を決意したパクにインタビューをしました。

朴晋暎|Area Park

写真家。1972年 大韓民国 釜山出身。
大学と大学院でドキュメンタリー写真を専攻。
エルメス アトリエ〈写真の道~宮城県でアルバムを拾う〉、古隠写真美術館〈放浪記〉、錦湖美術館〈都市少年〉等で8回の個展開催。光州ビエンナーレ、大邱写真ビエンナーレ、アルル写真フェスティバル等、アメリカ・ドイツ・フランス・ロシア・中国・日本等で100回余りのグループ展に参加。
2011年から東日本大地震の被害地域を回り現在まで撮影を続けている。このすべての作業を総整理し、韓国国立現代美術館で2015年上半期に個展開催予定。
作品は国立現代美術館、ソウル市立美術館、GMOMA、SEMA、古隠写真美術館、UBSコレクションなどに所蔵されている。現在、日本と韓国を行き来しながら撮影をしている。
금호미술관 개인전 2006

東北、特に福島県でなかったら参加していませんでした

どのようなスタンスで写真を撮影されていますか?

主にドキュメンタリーを撮っていますが、「もの」として魅力があるアイテムがあれば何でも撮ります。

韓国で最も格式高いと言われる国際展「光州ビエンナーレ」に2008年韓国人写真家でただ1人選出されるなど、韓国美術業界で華々しい地位が確立されていった時期に、突然見知らぬ国の日本に移住して、苦労したことなど多かったのではないかと思います。
特筆することなどがあれば教えて下さい。

「光州ビエンナーレ」で、写真家では私一人でしたが、他の分野では韓国の顔見知りの作家も数人参加していました。
その頃、韓国で写真が売れ始め、魅力的な仕事も入ってきたりしていましたが、結婚を決意した人が日本人でした。

震災以来パクさんは福島を含め東北の被災地に通いながら写真を撮り続けてます。
その経験から今回の福島での展覧会「アラフド・アート・アニュアル2014」に参加する意義があれば教えて下さい。

東北、特に福島県でなかったら参加していませんでした。そこに意味があります。

わざと触れ合いを持たないようにしていました

今回の出品予定の作品について教えて下さい。

持ち主のいないアルバムについての話です。 あるアマチュア写真作家が自分の娘の誕生から専門学校を卒業するまでの記録です。宮城県のある海辺の町で燃やされる直前に拾ったアルバムです。写真1枚1枚が、写真家の私が見ても、魅了されてしまうくらい素晴らしい写真でした。

福島での撮影に関して、印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

エピソードは色々ありますが、私の写真が厳正な記録としての写真になることを望んでいるので、地元の人とジャーナリストの間の立ち位置になるよう、わざと触れ合いを持たないようにしていました。

震災後、写真家としていてもたってもいられず、すぐに震災地に向かったと聞きました。
写真家としてすべきことがあると感じているとすれば、それは何ですか?

2001年9月11日ニューヨークテロをテレビで見ましたが、それを超える衝撃でした。だからどうしても行きたくなりました。写真家としての使命感というような偉そうなものではなく、本能的にただ、一人の人間として自分の目で見てみたいという強い思いからでした。それだけです。最初の数回は写真を撮る状況ではなく、ただ見ることしか出来ませんでした。そんな中、一番印象的なのは、風に揺られ舞っている持ち主のいない写真の光景です。それを見てから写真を撮る姿勢が変わりました。そして一人の人間としてとても大切な勉強になりました。
스캔-8

私が選び提示していますが、その判断は見る人ができるように

現在、興味のあるモノや人、事象があればその理由も含め教えて下さい。

ここ3年間は津波の被害について撮ってきましたが、最近では原発の影響について記録しています。

制作する上で常に気をつけていることがあれば、教えてください。

客観性です。私はジャーナリストではなく写真家なので、あえてこれを大事にしています。もちろん主観的な感情が全く入らないというのは無理ですが、写真というものは、もともと撮る時は有りのままですが、どのようにディスプレイし編集するかによって、変わるものです。よって私が選び提示していますが、その判断は見る人ができるようにと中立性を保つよう努力しています。


ありがとうございました。Interviewer: 増山士郎