Arafudo Art Annual 2014!

Festival of Art, Tsuchiyu Onsen, FUKUSHIMA

一から始める。こけしの作り方

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『こけし開き!』は、好きなこけし工人さんに弟子入りできる人数限定のワークショップです。木工の素人が本当にこけし作りができるのか、今回は2泊3日のワークショップを、なんと2時間という短い時間で体験してみました!果たして、出来上がるのでしょうか?


今回、先生になってもらったのは阿部国敏こけし工人。生徒はアラフドアートアニュアルの総合ディレクターのユミソン。国敏さんの工房におじゃましました!こけし作りの第一歩は、木の選定から(本当は、木を一年以上寝かせるという作業もありますが、それは省きました)。イタヤカエデや山桜などいろんな木があります。どれにしようかな…?


選んだ木には、まだ皮が付いているし、大きすぎます。木を四分の一の太さに切り、縦の長さも適当な大きさにします。もちろんユミソンは大きな歯の電気のこぎりを使うのは、初めて。ドキドキと指を切らないように木を切りますが、既に指を切りそうな位置に手を置いていますね(笑)。ミシンがけの感覚で、スラスラと木が切れます。


大ざっぱに切った木を、完成形のこけしに目指して、定規で目印を書きます。センチじゃなくて「寸」や「尺」という普段は使わない単位で図るので、いまいち感覚がわかりません。何寸のこけしにしようかな???


さっきよりは少し小さくなりましたが、また電気のこぎりの登場です。こけしの皮の部分を切り落とします。さっきよりも細かい作業なので、緊張します。そして、細かい木の削りカスが飛び散って顔にあたって痛いです…!め、め、め、め、めが痛いっ。作業用メガネが必要なことがわかりました。


じゃんっ!胴体と顔部分の切り出しが終わりました。


荒削りした木の中心を決めていきます。円形の定規を使って、鉛筆で印をつけます。


円柱にするために、木を旋盤に取り付けます。なかなか機械が重くて、セッティングに力が入りますが、セッティングが終わったら、あとはギュイーンとあっという間!木の削りカスが全身シャワーのように降りそそぎます。


じゃんっ!胴体と顔部分の円柱の切り出しが終わりました。この時点では、まだまだこけしには程遠いのに、愛着が湧いてきました。


やっと!ロクロでの作業が始まります。ちょっと緊張するユミソンディレクター。


まずは顔の部分を作ります。ロクロの回転数は、国敏こけし工人がいつも作業するよりもずっとゆっくり。だけどとっても怖いです。何が怖いかというと、力を抜くと、手に持っている刃物が自分に飛んできそうなのです。いくら怖くても、失敗しても、手は絶対に離さないように心がけて、腰に力を入れてスライドするように刃物を動かします。手が筋肉痛になりそう!どんな輪郭にするのか、前もってスケッチブックに描いたり、好きな輪郭のこけしの写真を用意しておくと良いと思います。


顔の形が決まったら、次はヤスリがけです。荒いヤスリから、徐々に細かいヤスリへと何度も行ううちに、ツルツルの顔になってきます。ツルツルお肌でうっとりこけし。


いい感じの木肌になったら、絵付けです。最初は土湯こけしのシンボルでもある蛇の目の髪の毛を入れていきます。回るロクロにそっと筆を下ろすと、あっというまにキレイな円になります。キレイな円ができてくるのを見るのは、きもちいい!


自分が思い描く好きなこけしの表情を描いていくのですが、ユミソンディレクターは、国敏こけし工人の描いた顔を模倣してみました。しかし……何か、似て非なるものが出来上がりました。何が違うのでしょうか……涙。


顔の次は、胴体です。ロクロに円柱の木をセッティングするのですが、これがとっても難しい。キレイに中心にセッティングしないとロクロを回した時に木がブレてしまいます。金槌で微調整を重ねながらブレずにまっすぐに木が回るようにするのですが、ぜんぜん上手く行かずにちょとイライラしてしまいます。途中でギブアップして国敏こけし工人に中心をとってもらいました。ぎゃん!


削りだした胴体に、ロクロ線を引いていきます。好きな柄や色をつけていきます。木が回っている時はキレイに色がついたように見えますが、ロクロを止めると色がまばらだったり薄かったりします。遠心で目が錯覚しているのですね。配色もなかなか難しいですが、筆を下ろすとあっという間に色が描かれて、楽しい作業です。楽しくてうっかり描きすぎちゃいました。


土湯こけしは、胴体を顔を別々に作るのが特徴。凹凸を組み合わせる工法です。凹部分の穴をこけしの胴体に空けますが、技術が高すぎるので、国敏こけし工人さんが担当。顔にちょうど合う大きさの穴を、経験であっという間に胴体に開けてくれました。


もうそろそろ作業も終盤です。顔と胴体を組み合わせる作業です。ロクロで高速回転している胴体に、顔を力いっぱい押し込みます。顔が胴体に押し込まれた後も、顔を掴んでいると、手が摩擦で火傷しちゃうので、顔が胴体に入ったらすぐにぱっと手を離すんだよと念を押され、ちょっとビビリながらも、力いっぱい押し込みます。


力の限り、押し込みます!!!!!


ぱっ!胴体がついたので、急いで手を離しました!!!


最後に、仕上げのロウ引きです。ちょっと急いで作ったので、墨がついたまま顔にロウ引きしてしまったので、顎の部分にヒゲのような跡が……((((;゚Д゚))))


最後は、名入れをして完成!!!最初に作ったこけしには「初作」と書き込む伝統があると聞き、珍品としての価値がでる日を期待してユミソンこけしにも名入れをしました。


2時間という短い時間で作ったために乾かない墨の跡が、ヒゲの剃り残しのような感じになってしまったオネエこけしの誕生です。伝統こけしと並べるとそれなりに見えます……よね。


さて。『こけし開き!』ではあんなヘンテコこけししか出来ないのかと不安になった方へ。
こちらは、木工が初めての参加者がワークショップに参加して作ったこけしです。素晴らしい出来です。