足湯「土ゆっこ」

開館09:00〜18:00
休館なし
料金無料
住所福島県福島市土湯温泉町上ノ町内

阿部乳坊 ABE Nyubo

《差室—還元と堆雪のシンシンフットバス》

新潟の山中にある母の実家は、いまは無人となり、ゆっくりと崩壊が始まっている。降り積もる雪の重さが、その速度をいっそう早めているようにも見える。 同様の光景は日本各地で見られる。空き家は増え、管理の手を離れた家屋は朽ちていく。人がつくり出したものを、自然は静かに、しかし確実に解体し、分解していく。やがて数十年のうちに、そこは再び森や野原へと還っていくのだろうか。

 本作は、茶室のようでありながらそうとも言い切れない、小さな空間である。ここは「差」や「違い」を持ち寄り、味わうための場として構想されている。 この空間では「差の湯の会」と称し、2013年の土湯アラフドアートアニュアルを起点に続いてきたプロジェクトを展開する。共同研究者である奥本素子とともに、博物館や科学技術コミュニケーションの視点から、日常の中でのインフォーマルラーニングのあり方を探ってきた。

 今回のテーマは、「すぐには解決しがたい問題に、少しだけ足を踏み入れてみること」。 足湯に浸かるような感覚で、困難な問題の入口に立ち、そこで起きていることをサイエンスやアートの視点から見つめ直し、語り合う場を目指している。

 足湯にはプラスチックボールが浮かべられ、内部の様子はあえて見えにくくされている。それは、問題の本質が持つ不透明さや複雑さ、深さを示唆するため
 私たちの身の回りには、この小屋のように朽ちていくものや、その過程にある曖昧な状態が数多く存在する。そうした「間」の空間に身を置き、対話を交わすことで、参加者それぞれに小さな気づきや発見、あるいは新たな反応が生まれることを期待している。