Arafudo Art Annual 2014!

Festival of Art, Tsuchiyu Onsen, FUKUSHIMA

Interview with 眞島竜男

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温泉街に必ず有るお店、おみやげ屋さんと温泉まんじゅう屋さん。松屋物産展とまつや菓子店に置かれたディスプレイには奇妙な動きをする男性の姿が映し出されます。選挙をきっかっけに踊るようになったアーティスト。「踊り」から連想される動きは、リズムにのったり、バレエや舞踊のようにある形式が見れたりするものですが、眞島竜男の踊りは、ただ指を動かすだけだったり、奇妙な歩き方をしていたり、リズムや形式が見れないものばかりです。不思議な動きを230日した記録を早回しの上映作品にしました。

眞島竜男|Tashuo Majima

現代美術作家 1970年 東京都生まれ。1993年 ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ美術科卒業。武蔵野美術大学油絵学科非常勤講師。東京と大分にて制作、活動中。 徹底したリサーチに基づく独特のユーモアを交えた作風を特徴に、写真、映像、パフォーマンスなど多様なメディアを用いた作品を発表。近年の主な展覧会に 2012年「無題(栄光の彼方に)」(TARO NASU)、「But Fresh」(トーキョーワンダーサイト)、2010年「北京日記」(TARO NASU)など。

今日の踊り, 松屋物産展 土湯温泉町, 2014

今日の踊り, 松屋物産展 土湯温泉町, 2014

「今日の踊り」を踊る経緯を教えてください。

 第46回衆院選の前日、2012年12月15日に、私はTwitterとFacebookに「投票してきました、選挙に行ってきました、などの報告をしてくれた人の数×分間踊ります」と投稿しました。その結果、101人から報告があり、私は101分間踊ることができました。その様子はUstreamでライブ配信されました。
 その後も、来る参議院選挙に向けて、体力をつけるため、体の動かし方を学ぶため、動きのボキャブラリーを増やすため、過ぎゆく日々に形を与えるため、「今日の踊り」と題して毎日2分間踊り続け、その動画をYouTubeに日々アップロードしました。その数230本、総上映時間7時間40分。その甲斐あってか、2013年7月21日の第23回参院選では、前回比87%アップの189人から報告があり、私は189分間踊ることができました。
 なお、「アラフドアートアニュアル2014」で上映している「今日の踊り」は10倍速バージョン(上映時間46分)です。

美術を通した近現代を見直すことは、その時代もさることながら、見直す現在が持つ視点というものが基準になってくると思います。眞島さんが持っている現在の視点についてお聞かせ願えますか?

 私はこの20年間、日本の近代美術の歴史を断続的に勉強してきました。それは、日本美術ではなく、近代美術を理解するためです。
 第二次世界大戦後の冷戦下、近代美術はアメリカを中心に組織され、それを補うさまざまなポストモダン美術が営まれてきました。しかし、冷戦後のグローバル化によって地盤沈下した近代美術はポストモダン美術を支えられず、ポストモダン美術は、そして近代美術もまた、現代美術=同時代アートへと変質しました。そして、今日の日本では、それらは全て等しくアートと呼ばれています。
 近代美術+ポストモダン美術から、現代美術=同時代アートへ、そしてアートへの、短期的には不可逆だと思われる地殻変動。私が持つ現在の視点はこのようなものです。

制作中に印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

 毎日踊っていると、自分にとって何が大切か、何ができて何ができないか、どこでOKを出すか(出せるか)が、とてもよく分かりました。また、毎日YouTubeで公開することで、見た人たちから思いもよらぬ反応をもらえました。
 美術史のレクチャーは、2012年の「どうして、そんなにも、ナショナルなのか?」(全12回、blanClass、横浜)以降、「アートはどこから来たのか」(全6回、清島アパート、別府)、「全体タイトルは思案中」(全4回、「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」、京都)、「アートはどこから来たのか」(全4回、「アラフドアートアニュアル2014」、土湯)と続けてきました。視点を変え、再編集し、何度も繰りかえすことで、多くの新しいアイディアを得ています。

ご自身のアートの楽しみ方があれば、教えてください。

 まずは、丁寧に作品や展覧会を観ること。そして、大胆にリアクションすること。よく分からない作品や展覧会、あるいは出来事に出会ったときは、しばらく寝かせてからもう一度考えてみること。そんな感じでしょうか。