興徳禅寺(こうとくじ)

開館情報

開館09:00〜18:00
休館なし
料金無料
住所福島県福島市土湯温泉町上ノ町40

水川千春 MIZUKAWA Chiharu

大阪生まれ。2006年より各地のアートプロジェクトやレジデンスに参加しながら、その土地の水や廃材などを素材に制作、国内外で展示。自身の残り湯や、温泉、川、海などの水を使った独自の「あぶりだし」技法を確立する。透明な水で描き、火に触れて絵が浮かび上がるオリジナルの画法は、かつての日本の遊びの文化を芸術に昇華させたとして2025年にCarrousel du Louvre(パリ)やMuseu Europeu d’Art Modern(欧州近代美術館・バルセロナ)などでも紹介される。ライブで炙り出すパフォーマンス、音楽とのコラボなど活動は多岐にわたる。 近年の主な展示に「VOCA展」(2015・上野の森美術館・東京)、「六本木アートナイト」(2022・東京)、「ウォールアートフェスティバルin猪苗代」(2024・はじまりの美術館・福島)など

《舞いつづく》

素材・土湯温泉の湯、海水、火、紙(あぶりだし)

この作品は、オリジナルのあぶりだし技法で制作されています。温泉のお湯や海の水で描き、描いている時は透明で目には見えませんが、火に触れて炙り出すことで、水の中のものが焦げ出て絵が浮かび上がる技法です。
日本の古神道では、火を「カ」と読み、水を「ミ」と読んで「カミ」としていたといいます。もともとは日本の昔の遊びの文化でもあった「あぶりだし」を、水川は相反するものの間に生み出す「結び」として画法にしています。
この展示場所は「松ヶ窪」と呼ばれ、江戸時代に詠まれたという以下の短歌も残されていました。

名にしおふ信夫の山の松ヶ窪
やみ夜さやけき雨のおとかな
(現代訳・有名なしのぶの山の松ヶ窪 雨の音がやみの中にしずかだ)

この歌に向けて、水川はその返歌として以下の歌を詠み、あぶり出した展示作品に付けています。


雨おとの つたう声きく松ヶ窪
火の花にふれ 舞いつづく歌

『火の花にふれ』の「ふれ」は、「触れ」でもあり、「降れ」でもあり、「震れ」でもあり、「振れ」の意味にもとることができます。
この地に出会う人それぞれに意味が生まれ、その生まれた思いはまた、火にも象徴されています。この地でつづいてきた水(生命)の音が、これからも続いていきますようにとの祈りを込められた作品です。