Arafudo Art Annual 2014!

Festival of Art, Tsuchiyu Onsen, FUKUSHIMA

Interview with バーバラ・ダーリン

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バーバラ・ダーリンは、社会と意味との間にある歪みを読み解きます。バーバラは今回、町の象徴でもある土湯こけしをモニュメントにした鉄像を、本当に必要なものなのかを疑問視し、必要では無いという理由をまとめたスライドと共に観光協会長たちにプレゼンテーションした映像作品を3日間だけ限定公開を予定しています。
公開予定日9月22日、24日、30日。

バーバラ・ダーリン|BARBARA DARLINg

1981年新潟県生まれ。個人の物事に対する解釈と理解と認識の差異と、一般化に生じるパワーバランスを、社会を劇場と捉えて、インスタレーション、パフォーマンス、映像制作、展示会の企画等を行い寓話化することで、歴史認識ついて考える。主な展覧会に、「The shiny future exhibition 2013 The HUMANISATION」(東京都美術館 東京都 2013年) 「ヨコハマトリエンナーレ2011  特別連携プログラム【BankART Life 3】 新・港村(しんみなとむら) - 小さな未来都市」(新港ピア 神奈川県 2011年)など

子どもたちに残すもの,2014,土湯温泉町

子どもたちに残すもの,2014,土湯温泉町

人と何かを行う事がとても苦手で、ひとりで出来る映画だと思って絵画を選んでいたのかな

絵画を学ばれ、劇団にも所属していたそうですね。

絵画も演劇も現代においてはとても多様で、それぞれの時代、それぞれの思想でかたちや構造には違いがあります。メディアとしての解釈も幅があるので、技術的にも絵画や演劇といった区切りで話す事は出来ないかもしれません。
作品によって適したメディアを選ぶ様にしていますが、選択基準はそれぞれのメディアが成り立つ為の構造で、その構成要素を手段として使用することで作品にしたいと考えています。

芸術高校に進学される時はすでに芸術家という職業を意識していたのですか。

理系か文系かと言えば、文系に進む事を望んでいました。小さな頃から演劇や映画に興味がありましたが、人と何かを行う事がとても苦手で、ひとりで出来る映画だと思って絵画を選んでいたのかなとは思っています。今は資本主義社会なので、お金にアプローチすることは面白いですが、何かの職業につかなくてはならないと言う事は今でもあまり意識していません。芸術については、昔よりも自分の好みや適正というのを理解出来る様になって、固着化して いるとも思っています。芸術よりは、文化に興味があり、その中でも芸能に近い感覚は持って居ると思っています。

新潟で生まれ、現在は東京に拠点っていますが、それぞれの土地の影響はありますか?

土地よりは、それぞれの土地で育った両親からの影響があります。
東京でも上野に近い所で育ったので、東京の東側と東北との深い因果関係からなる文化は僕のアイデンティティになっているかもしれません。

財産とは負債になる一面を秘めて居ることをしっかりと認識したい

出品作「子どもたちに残すもの」は、こけしのモニュメントを主題にしていますね。

土湯の中での高度経済成長後の日本の矛盾を含めた歴史のシンボリックなオブジェクトとして捉えています。スカイツリーや原発やオリンピックや法律等(もっと個人的なものでもかまいませんが)、財産とは負債になる一面を秘めて居ることをしっかりと認識したいと考えています。

「社会を劇場と捉え寓話化することで、歴史認識ついて考える」が制作のテーマ。
「劇場」って何を指しているのですか?

演劇で言う所の劇場(theater)です。演劇を行う箱、劇団、劇空間、舞台、ドラマ等、演劇そのものを意味するに等しい意味かもしれません。ステージの上で演劇、ドラマは行われます。近代以降の「現代を再現する」ことへの挑戦や、脱構築といったアプローチを土台に、社会を劇場と捉える手法は、ウォーホルが時代を象徴した「誰でも5分間はスターになれる」という言葉 から更に進行し、スターの不在、インターネットの普及、SNSやグローバリゼーションの影響による、社会の変容から、比較的容易に考えうる現代の劇場の在り方そのものだと考えています。鑑賞者は、鑑賞者であるとともに常にパフォーマーであるならば、そこは既に劇場だと考えます。劇場をさらにフレームにおさめる行為、つまり作品はナラティブの登場を意味し、歴史化につながります。歴史への嫌悪があるので、寓話化は乏しいですが、有効なアイディアだと考えています。

制作中に印象に残ったエピソードがあれば教えてください

今回の作品では映像の冒頭で話している通り、荒川大橋のこけし型オブジェ設置の経緯をご存知だろうと思われる方々に、インタビューして回る形でリサーチを行いました。括弧付きの事や、誰の発言であるかを言及しない為に、作品にはそのVTRは出していません。なので、作品としては全て僕の作り話でもあるという状況にある可能性も踏まえて制作しました。しかしながら一回のインタビューが平 均して2時間はあったりするのですが、これが非常に面白かったです。

「世界にこんな物があったらいいな」

今、興味のあることは何ですか。

色々興味が散漫ですが、制作を含めて研究課題として、パブリックとプライベートの関係性や、歴史の成り立ち方があります。

作品を作る 時に気をつけていることは?

制作はリサーチの一部であるか、「世界にこんな物があったらいいな」と思って行っています。なので「誰かが制作してくれたらいいのに」とか、「既にあったらいいのに」といつも思っています。


ありがとうございました。interviewer:yumisong