Arafudo Art Annual 2014!

Festival of Art, Tsuchiyu Onsen, FUKUSHIMA

オープニング挨拶:ユミソン

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こんにちわ。土湯アラフドアートアニュアル総合ディレクターのユミソンです。
「土湯アラフドアートアニュアル2013」の開催に、みなさんと立ち会えたことををまことに嬉しく思います。本芸術祭は、国内外から32組のアーティストが参加し、土湯温泉町の各所に作品展示をする現代美術の展覧会です。土湯アラフドアートアニュアルの『あらふど』とは、「新雪を踏み固め道筋をつくる」という福島の方言です。

土湯温泉町の青年部が運営をしている芸術祭なので、町おこしという位置づけでの芸術祭だと思われている方が殆どだと思います。確かに、震災によって1/3の旅館が廃業した土湯温泉町の現状を変えていこうということで、この芸術祭は始まりました。「町おこし」とは何を指しているのでしょうか?経済的な訴求や即効性のある集客力を求めるなら、既に人気のあるコンテンツを再生産した方が効率的です。では、芸術祭では「町おこし」は不可能なのでしょうか。

残念ながら、今すぐそれにお答えすることは、私にはできません。それは、芸術を消化していくということは大変に時間のかかる作業だからです。この芸術祭を通して、私たちが何を知って/何を知っていないか、何を見て/何を見ていないのか、何を聞いて/何を聞いていないのか、誰に触れて/誰に触れていないのかを、考えて生きていくきっかけになればと思っています。

それは、言葉を超えた対話の可能性とも言えます。震災後の急激に変わった町の景色とみんなの思考を、どのような思想で見ていくのか。思想のフレームワークがどのように作られていくのか。言葉だけではない対話を私は信じています。その長くかかる文化の形成を「町おこし」という言葉を使ってもいいのなら、土湯アラフドアートアニュアルは、土湯温泉町の文化を作る重要な役目を担う存在になりえると考えています。

先ほど、「あらふど」の説明をしましたが「アニュアル」の説明もしたいと思います。アニュアルとは「毎年の」という意味です。文化というものは継承していきながら、形成されていきます。この土湯アラフドアートアニュアルの継続的な開催が、「町おこし」として地域における芸術の役割の答えを持っていると思います。一見、奇妙にも見える出品作品たちは、私たちが作品に問いかけない限り、奇妙な他者のままです。この町の人たちや観客は、問いかけを持つことで初めて作品たちとの対話が可能になります。それがいつか作品を越え、町の景色やこの現状に対しても同じように問いかけを持ち、言葉ではない対話を持つことができる強度のある地域へと発展していくことを願います。

長くなりましたが、以上が私の挨拶と変えさせて頂きます。
また、この後のツアーでは、全員ではないですが、作品の前で作家たちへ色々な問いを投げかけられるようになっています。ぜひ様々な問いを持って作品や作家に触れて頂けると幸いです。ありがとうございました。

オープニングのツアーの様子はこちらからレポートが見れます。
http://arafudo.net/opening0906/