Arafudo Art Annual 2014!

Festival of Art, Tsuchiyu Onsen, FUKUSHIMA

Interview with 飯山由貴

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ムーミンの着ぐるみ、と言ってもひと目で商業的なものではないとわかる作り。ムーミンでさえないようなイビツな着ぐるみを来て、旅をする家族。飯山由貴さんは自分の家族が持つ問題や関係を映像作品にしました。モニターに流れる映像と、スライドでカシャンカシャンと切り替わる映像。古民家の馬屋の薄暗さと家族の複雑な営みが重なります。

飯山由貴|Yuki Iiyama

1988年神奈川生まれ。ネットオークションなどで購入した私的な記録から、ある社会下での文化や制度が個人、集団に及ぼした影響を辿り、混在したメディアで提示する作品を中心に制作。主な展覧会に個展「湯気 けむり 恩賜」(実家 JIKKA、東京、2013年)など。
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自分が生まれるまえから存在するものがあることに、怖さを感じたことを覚えています

映像作品を出品していますが、大学では何を専攻していたのですか?

油画を専攻し、絵をかくことへの関心が、イメージへの関心に変化していったように思います。大学に入学してから、専攻とは関係なく聴講できる授業で近現代のアートを知り、美術館やギャラリーへ見に行くようになったことで、自身の関心や疑問と結びつけた表現について考えるようになりました。

『あなたの本当の家を探しにいく/ムーミン一家になって海の観音さまに会いにいく』という作品を出されていますが、飯山さん一家はどんな場所で生活をしていますか?

わたしは生まれた所に、大学を浪人するまでずっと暮らしていました。わたしの先祖はその土地に約700年くらいまえから定住していたようですが、印象に残っているのは、関東大震災以前に建てられたという納屋です。建物は、いつか人為的に壊したり、天災で壊れるものですが、小さい頃、自分が生まれるまえから存在するものがあることに、怖さを感じたことを覚えています。

この映像作品を作るきっかけを教えてください

わたしの家族のひとりには、幻聴や幻覚をみる人がいます。彼女が調子のよくないときに言った言葉をもとに、本当の家を探しにいったり、家族でムーミン一家の扮装をして、いくつかの場所にでかけた際の記録です。アーティストは自分の内なる衝動を表現する以外にも、すでにある表現や、関係に気づいたり、その補助になることができると考えています。

映像2点とポジフィルムによるスライド1点を、民家園の馬場家という、200年前の村医者が住んでいた住宅の「うまや」の中にある便所に展示しています。たまたまこの展示場所になりましたが、むかしの住宅のなかでいちばん暗い場所が便所で、今その場所に映像/映写という媒体が必要とする条件が嵌まるのは、おもしろいなと思いました。

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制作中に印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

海で撮影していたら、ムーミンだ!といわれて、一緒に記念写真を撮りました。

現在、興味のあるモノや人、事象があればその理由も含め教えて下さい。

人よりもはるかに長く生きられる植物が気になっています。
来年は養蚕をやってみたいです。


ありがとうございました。interviewer:yumisong